楚ばあや(そばあや)

場所:瓊璣野・瑶光の浜・海貝の小屋

あっ…旅人かしら。
今「彼」の話に集中してたから、気付かなかったわ。

①他の人の声は聞こえないけど…
→フフ…私も最初は聞こえなかったわ。
でも数十年したら、耳が遠くなったけど、最近になって「彼」の声が聞こえるようになった…
あの伝説は本物よ。何年もここにいて正解だったわ。
ー①「彼」は?
→私の夫よ、褐色の肌と逞しい筋肉を持った人でね…
なのにプロポーズの時は子供みたいに、私と一緒にじいちゃんばあちゃんになるって、フフ。
私たちは同じ漁村で育ったの。仕事も漁の仕事だったわ。
結婚4年目、嵐の海の中、彼は私をボロボロになった小舟に縛って…
私は一晩漂流して、ここに戻って命拾いしたけど、共に白髪になる約束は果たせなかった…
ー②伝説というのは…
→目を閉じて、ほら貝の音に耳を傾ければ、海の声が聞こえる…その伝説を聞いたことはある?
永遠に海の中に消えた私の夫は…何か私に残してくれているのかしら…
そう思って私はこのほら貝の小屋でずっと待ってたわ…
いつか、浪の中で彼の声を聞ける日をね。

②お邪魔しました。
→海に出る時は気を付けてね、さようなら。