天下人の章(てんかびとのしょう)(雷電将軍)

第一幕 泡影照らし浮世の風流(ほうえいてらしうきよのふうりゅう)

★将軍に独居浄土(しょうぐんのどっきょじょうど):冒険もこれで一段落ついた。あなたとパイモンは千手百目神像を訪ねることにした…

千手百目神像の前でトーマと九条鎌治と一平が話をしていた。彼らは旅人が稲妻に残した影響について話をしていたようだ。これまでの三奉行の仕事は雷電将軍の為のものだったが、近頃、雷電将軍が静養を告げ誰にも会わないようにしているという。稲妻外海で雷が荒れ狂っている。それは雷電将軍の鎖国への意志だが、それが最近稲妻の島々に近づきつつあるという。トーマが心配しているのは今まで雷電将軍の意志が揺らぐことはなかったからこそ、将軍本人を心配しているようだ。九条鎌治も雷が荒れ狂う原因は雷電将軍の身に何か起きたからだと考える人が多いと教えてくれた。だからこそ変な噂が広まる前に社奉行と天領奉行で対策を練っていたという。しかし、「九条家」の内部は今、非常に不安定だという九条鎌治。九条家はファデュイと結託したことに対する雷電将軍の裁きを待っている最中だった。極論、配下は命令を聞かないが仕事は変わらないとうことだ。九条孝行を止めることができなかった鎌治は責任を感じていた。九条家は九条政仁が戻ってくるまでは耐えなければならない。鎌治は鷹司家の当主である鷹司進に会いにいくという。

根本の原因は雷電将軍の静養にある。彼女自身に出て来てもらうのが手っ取り早いとパイモンは考えた。試してみる価値はあるはず。八重神子に会いに鳴神大社に向かう事に。

トーマや九条鎌治から聞いた事を八重神子に伝えた。八重神子が言うに、影はあの戦いの後、心がねじれ人が変わってしまったという。敗北は何よりも重い一撃であり、前に会いに行ったときに三色団子と娯楽小説を忘れてしまったという。神の心配をする必要は無用だと八重神子は続けた。影は無事ではあるが詳細は八重神子もわからないようだ。静養中の影に会えるのは八重神子だけだが、旅人は稲妻の人々のためにも彼女に会う必要がある。八重神子は通行証を渡してくれた。

稲妻城天守の門番である毅は最初は旅人を疑っていたが、八重神子の通行証を見て道を開けてくれた。

天守の中には落ち着かない様子で歩き回る雷電将軍がいた。雷電将軍は素っ気ない態度ですぐに帰るよう促してきた。静養は「影」が干渉しているようだ。雷電将軍は今は執務もできないと言うが詳細は教えてくれそうにない。その時、影が話しかけてきた。直接中に来てくださいとの事だった。

「一心浄土」で影と再会した。雷電将軍の機能は一時的に停止させたという影。だからこそ事務処理も「影」としても振舞う事も出来ないので静養を告げたようだ。人形にはスイッチなどはないという。その保険として、規則修正に対して非常に完璧な防御機能を備えている。人形の規則を変えるよりも、機能を停止した方が効率的だと続けた。しかし、稲妻外海の海が荒れ狂っている事は影も初耳だった。操作の手違いなので人形を調整すれば問題ないようだ。「永遠」についての考え方は、まだ納得する答えは出ていないようだ。気分転換に「外」へ行くことを提案する旅人。影はその提案を受け入れてくれた。影の為に稲妻を案内しよう。

★浮世の風流を巡る(うきよのふうりゅうをめぐる):何かの理由で将軍が行動できない時、あなたは意外にも影を「一心浄土」から呼び出すことに成功した。気分転換のために、影を城内の散策に連れて行こう。

稲妻城下の街並みは影の以前の記憶とは大きく変わっているようだ。町の人々は雷電将軍の姿に驚いていた。普段は町の見回りは天領奉行の仕事なので自ら出向く時間は無いという。町の人々は将軍の姿に緊張しているようだ。影もまた「モラ」はもっていないようだ…。影は智樹の屋台に興味を持った。智樹の発案した「団子牛乳」が気になるようだ。聞いていた雷電将軍の印象と違うようで智樹は困惑していたが、「団子牛乳」の誕生秘話を教えてくれた。「団子牛乳」の味や食感にみんな満足の様子。「団子牛乳」の売れ行きは良くないようだ。食わず嫌いのようだが、それを言うと社奉行の買わせてみんなに配ろうと提案する影。さすがに智樹もそれはやりすぎだと焦っている。影は甘いものが大好きなようだ。次は八重神子が作った「八重堂」に行きたいようだ。

八重堂の黒田も雷電将軍の姿に驚きを隠せなかった。八重堂の娯楽小説が雷電将軍にあうか不安な黒田。今の娯楽小説はなかなか影には難解なようだ。『転生ヒルチャール、夕暮れの実を食べ続けたら最強になった件について』について真面目に考えている。「設定」について考える影。創作作品は影にはなかなか通用しないようだ。影の為に読みやすい本を選んであげることにした。

相変わらず小説の内容を真に受けているようだが、本の内容よりも、物語から感じ取れたのは、時間が稲妻に残した痕跡だという。「永遠」を求めた将軍の統治の下で変化は起こるはずがないが、食べ物や物語は昔を大きく変化をしていた。影は変化の一切に慎重な態度だったが、人類の進歩を止めようとしたからではないという。影は外の世界を改めてみて「永遠」に対する考えを少し整理できたようだ。今を思い出に残すために景色の良い場所で写真撮影をすることにした。

★恒常資料(こうじょうしりょう):あなたの案内により、影は斬新なものをたくさん目にして、楽しそうにしている。このゆったりとした時間を写真に収めることにした。

花見坂で写真を撮ることにした。ポーズを取ればいいというが影は恥ずかしいようだ。ポーズを決めて写真を撮った。写真という仕組みに影は興味深々だ。写真の仕組みは人形と影の関係と同じだと説明する旅人。「永遠」を追い求める影でさえも、存在の形が変わり続くていたことに気がついた。今回のことは影の認識に大きな衝撃を与えたようだ。その時、一平が九条鎌治を探す声が聞こえてきた。

雷電将軍の姿に一平も驚いていた。どうやら九条鎌治が交渉に行ったきり帰ってきていないという。普段から九条鎌治は散策で帰りが遅い時があるようだが、今日に限っては一平が凄く不安を感じているという。一平は九条家の今後の事などがまだ決まっていないことを影に告げた。鷹司家との会合場所は特別な場所だという一平。一平は何か不測の事態が起きていると考えているが「鷹司家」に入ることは出来ない。代わりに出向くことにした。雷電将軍が交渉の場に現れる事は問題ないことだ。

★そして世の声に耳を傾ける(そしてよのこえにみみをかたむける):一平によると、九条鎌治は鷹司家の主家に会いに行ったきりで、まだ帰ってこない。影は自ら天領奉行内の問題を解決するよう取り掛かった。そして、あなたと影は共に野外に位置する鷹司家の秘密基地へと向かった…

かなり分かりづらい場所に鷹司家の秘密基地が存在していた。影はこの地には属さない気配を感じ取っている。秘密基地の奥には九条鎌治と鷹司進の姿があった。鷹司進は九条家の罪を認める文を求めていたという。九条家の罪は事実だが、そこには鷹司家の功績が記されていたという。そして、九条鎌治を軟禁する形で署名を強要していたのだった。影は交渉内容に興味はない。しかし、鷹司進が天領奉行の座を狙っていることは間違いない。影は雷電将軍として自分に決闘で勝利すれば天領奉行の座は鷹司家に渡すことを明言した。初代天領奉行も己の手に握った刀でその意志を将軍に示し、今の九条家まで受け継がれてきたという。鷹司進もその家臣も雷電将軍を前に勇気ある一歩を踏み出せるものはいなかった。そんな時だった。九条鎌治が雷電将軍に決闘を申し込んだのだ。影は例え勝利しても九条家の罪は消えないという。しかし、九条鎌治も九条家の犯した罪が許されるとは考えていない、何より将軍に勝てるとも思っていない。九条鎌治の力では何もできなかったのだ。しかし、何もしてこなかった自分に憤りを感じている。九条家の最期の時に名代であるからこそ、祖先と同じ刀で意志を証明するという。

九条鎌治と雷電将軍の実力差は明らかだった。九条鎌治は打ちひしがれようとも刀を握り雷電将軍に立ち向かっていった。そして、影は九条鎌治から誇りを感じ取っていた。九条鎌治の世話を鷹司進に命じる影。この決闘で九条家への処分は保留にすることを影は決めたようだ。鷹司家には引き続き九条家を支援するよう命じ、もしもよからぬことを考えていたらその時は容赦しないとも警告した。

もしもあれが人形だったなら容赦なく九条鎌治を斬っていたという影。しかし、九条鎌治の覚悟を確かに感じ取っていた。九条鎌治は大きく変化してきた世において、変わらないものを影に示した。九条家の罪は消える事はないが、過ちを犯したのは彼らだけではないと影は言う。新たな道を見つけた影だが、稲妻の統治は「人形」に任せるようだ。天領奉行のことも解決したし、雷電将軍静養に関する悪い噂も消えるはずだ。最後に通行証を八重神子に返しに行こう。

八重神子に起きたことを話すと実に面白そうだった。今回の結果は八重神子の想像以上の収穫があったようだ。また影に会いたいときは、通行証を狩りに来るといいとのこと。影は結構な寂しがり屋らしい。

第二幕 須臾百夢(すゆひゃくむ)

★不浄祓いし明光(ふじょうはらいしみょうこう):稲妻の冒険者協会に、神櫻に関する依頼があるようだ…

★往日の途を断ちて(おうじつのみちをたちて):神櫻の傷ついた根から、多くの人の記憶が散逸した。この機会に、雷電影は大切な友人や守り抜いてきた稲妻の物語を色々と話してくれた。

★煌々たる櫻(こうこうたるさくら):雷電眞が残存する意識空間で、影と人形の将軍は途方もない戦いを始めた。稲妻のためにも、影のためにも…彼女がこの過酷な試練を乗り越えられるよう、あなたはこれまで同様、影を助けることにした。