守護の心(しゅごのこころ)

守護の花(しゅごのはな):守護者が大事にしていた菖蒲。しかし愛しい人に贈る日を迎えられなかった。
…守護者を悩みから解放できるのは、
少女のさわやかな歌声だけだった。

彼らの物語はせつなくて短い。
物語の最後、守護者は血を流し尽くし、
少女の涙と歌は枯れた。

守護の印(しゅごのいん):ある人の「堅い盾になりたい」という意志を象徴する羽根型の安全ピン。
…羽形のブローチに刻んだ盾の紋章が月の下で光っていた。
それは賊をぞっとさせる光でもあった。

守護者には非常に気高い騎士の名をもっていた。
けれど夜には、その紋章と顔をマントの下に隠した。
こうすると、彼は束縛から解き放たれ、
騎士としてはできないことを成すことができるようになった。

守護の置き時計(しゅごのおきどけい):時間を示す道具。月のない暗い夜に唯一時間を教えてくれるもの。
…時計針の音、蝋燭の光、そして案件の巻物。
月の下の人影、剣と黒いマント。
これらすべて守護者が傍にするものであった。
しかし何をしても、彼にとって時間は短く感じるだけだった。
朗らかな上司は彼の無口をつまらなさを鼻で笑った。

守護者に過去なんてない。彼が目にするのは現在と未来のみ。
彼の目標はただ一つ。それはどんな手を使ってでも、悪を追い払っい、
親友と上司が愛する地の平和を守ることだ。

彼が世界のことを忘れるのは、
昼の広場で少女を見つめる時だけだった。

自分にも「未来」なんてあるのか…

守護の瓶(しゅごのびん):金属の容器。長い夜の孤独を解消してくれるある液体が入れられる。
…どこでもある古びた金属の酒壺。
強いてその特徴を言うと、
中に酒を一回も入れたことがないくらいだ。

「お前も、偶には飲んだらどうだ」
長年守護者の親友である上司が言った。
「リラックスして、酔った勢いで歌おう」
「それで、明日に向き合う勇気が出るんだ」

守護の帯(しゅごのおび):夜色に染まった藍色の織物。緊急時に包帯として使える。
…次善の策は常に用意するべし――
この信条を従ってつけた髪結びは、
時に止血用の包帯になる。

この信条に従って、自分の剣法を親友の手下に教えた。
この信条に従って、正義に執着する白き騎士を育てた。
この信条に従って、惡の華を咲かすかもしれない苗を殺した。

準備万端ならば、
いつか自分がこの地を守ることができなくても、
親友を、歌が上手だった少女を守ることができなくても…