逆飛びの流星(さかとびのりゅうせい)

夏祭りの花(なつまつりのはな):永遠に咲き続ける造花、その中には命が宿っているかな?
…永遠に満開する夏の花、氷雪に埋められても萎えることはない。

ある者はそれが偽りの偽造生命であるろ誹謗した。
従来、命というのは変化であり、苦痛であり、成長であり、
いずれ訪れる死亡にある。

だとしても、あの夏祭りで彼女と見た花火、
空中できれいに咲いてまた消え去った記憶、
あの細長い狐の目をもって、突然離れた女は、
この彼女が残した散らない花しか覚えてないでしょう。

結局、ある命は
この花のように不朽で、
多数の命は瞬間の花火でしかない。

夏祭りの終わり(なつまつりのおわり):精巧な木製ダーツ。終点に着くまでは止まらない物。
…木で作られたダーツは夏祭りでよく見かける。
稲妻の志怪小説では、
人と非人のものがである物語があった…

妻の妊娠を祝うために、神社へ願ほどきに行った。
けれど知らないうちに、
七歳の水風船と、十七歳の狐面、
百年も散らない花を持っていってしまった。

どうしてまだ彼女に会いたい、
媒酌の仲でもないし、生活が貧しくても、
生活に満足しているはずなのに――

途中で、私は寄り道で昔彼女と花火をみた場所に行った。
木立を分けて、彼女がそっと石の上で座っているようだった。
近くにいくと、ただひなたぼっこをしている狐であった。
私の足音を聞いて、奴は跳びあがって森に走った。
木の葉から光る白斑のように、ちらちらっと消え去った。
私はもっと近寄って、石の上に残された古い木のダーツを見かけた。

夏祭りの刻(なつまつりのとき):ある時間に止まった懐中時計。
…精美な部品を飾った懐中時計。
しかし、ある時間に止まった。
稲妻の志怪小説では、
非人のものとであう物語と関わっている…

夏祭りの夜に、好きな少女と参道を歩いた。
かすかに、私は迷子の泣き声を耳にした。
恍惚して、足を捻挫して、懐中時計も壊れた。

彼女が薬を取りに傍を離れた。
私は通行人の道を避けて。
道端の岩で休憩をとった。
面を被った麗しき女性が隣に座った。
「ここは人が少ないね」
「花火を見るいい場所だわ」

ただの夢かと思った、
十年ぶりの再会だったが、
十年が過ぎても全然老いていないが…

「お主も大人だし、風船釣りは止めておこう」
「どうだ?酒を持ってきてぞ、一緒に花火を見るか」

夏祭りの水風船(なつまつりのみずふうせん):夏祭りでは水風船がよく見られる。しかしこれほど精巧な水風船はこの一個しかない。
…水を盛った精巧な風船。
稲妻の志怪小説では、
非人のものと出会う度に得られる記念品である…

夏祭りの人波で両親と離れた。
水風船が見たくて、
父の手を放しただけなのに。
神鉾を運ぶ人は私たちをかき分けた。

私は参道の端にある鳥居で泣きながら、
登山する通行人の足を数えた。
いつごろから傍に立っていた。
狐のような美しい女性が私の手を取った。

「こんなに可愛い子を置いとくなんて、酷いわ」
「どうだい?花火とダーツと風船を見に行こうか」

夏祭りの仮面(なつまつりのかめん):伝説の神のイメージを元に作った仮面、とても流行っているもの。
…神憑りの面。
伝説の神の外見を依拠して作った面。

狐の姿で、現世の神の姿で、
顔を隠す者がたえずにいた。
恐らくその変化万端を羨望していたんだろう。

稲妻の伝説で、八百万の神がいた。
――誠であるとしても、
恐らく大多数は将軍の威圧の下で、
町から離れ、森に隠れたんだろう。

しかし、人はあいかわらず狐憑を、
千年の年月が動物を仙にさせることを信じた。
だから、この狐面が代表するものも信じた。

面の後ろには秀麗な字で行動を残した。
「花火の音に隠れて離れてすまない」
「もう二度と会うことはないであろう。お大事に。」