花海甘露の光(かかいかんろのひかり)

霊光起源の蕊(れいこうきげんのずい):遥か昔の巡礼者がつけていた勲章。華麗な小花である。
…「私の無邪気な娘、私の霊光よ…」
「あなたのことをもう一人の母に託すわ。あの子に忠誠と愛を捧げなさい。」
「あの子の知恵は私に劣らない。そして、その輝きは私よりも眩しいもの。」
「夜、顔のない夢を見たことがある。私はそれに、とても不安を感じた…」
「だから、あなたを私の体から分離させたのよ。どうか、悪夢の到来を止めて。」

「私の霊光、私の光よ…」
「漆黒の潮の到来をあの子に告げたことがある。あなたはその中から責務と運命を知るでしょう。」
「恐れずに、退かないでおくれ。霊光を色褪せさせないでおくれ。母に恥をかかせないでおくれ。」
「人のために犠牲になるのが私の宿命であるように、犠牲もまた新生にとっての素晴らしい前奏なの…」
「草木の母の懐に飛び込みなさい。あの子の国で、あなたは運命を見つけられるはずよ。」

「私の霊光、私の純粋な娘よ…」
「あなたは姿を変え、分裂と死の試練に立ち向かうことになる。」
「それから、あなたは永遠に生きる。けれど、それはより暗い道になるでしょう…」
「甘露の主と草木の主は、あなたよりも先に姿を消すことになる…」
「彼女たちは忘れ去られ…そして、あなたたちも犠牲の記憶だけが残るの。」

「私の霊光、花の娘よ…」
「恐れることなく、立ち向かうと決心がついたのなら…」
「新しい養主の懐に飛び込みなさい。」

霊彩奇麗の羽(れいさいきれいのはね):繊細な作りをした、羽の装飾品。緑の葉っぱとかぐわしい花の光沢が輝いている。
…覚えている者は誰もいない月夜、悲劇の砂嵐が楽園を飲み込む前夜のこと…
花と草木は、人間の国について語り合った――その希望と荒れ果てた未来のことを。
触れてはならぬ者は灰色の死をもたらし、漆黒の潮は生の河岸を洗い流す。
新生した草木と獣は人間と共に、幾度も押し寄せる険しい潮流を退けた。

赤砂の主と決別した後、孤独な年月の中で草木の女王は霊光から神鳥を作り出すと、
それに二つの世界――新生と死の堺を見守る責務を与えた。
神鳥は松柏と雪蓮花が育つ場所に住み、約束がまだ生きる甘い夢の中で眠った…
災いが訪れる時だけ、彼女は目を覚ます。そして、定められた破滅の運命を歩んでいくのだ。
その後、あの人の悲哀に満ちた予言通り、仄暗い死の静寂は雨林に蔓延していき…
友が警告した通り、漆黒の獣は潮のように押し寄せ、新生を果たした雨林を飲み込んだ…

水の国の旧主は激動の中で滅び、その身は純粋な甘露の海へと変わった。
だが、アビスに蹂躙されて荒れ果てた大地では、純潔なる露はやがて蒸発して乾いてしまう。
草木の女主人はそれを悲しむ暇もない。幾千万の種を持つ母樹は、哺育を待っているのだ…
黒淵の穢れを浄化し、甘露の純潔さを守るために、シームルグは神から授かった体を崩した――

「花の霊光から生まれた美しい生物は、必ずや散って泥になる運命にある。」
「舞い散った後…甘露の潤いを享受し、花海の者として生まれ変われば、もう『死』に悩まされることはない。」

久遠落花の時(くおんらっかのとき):霊光の輝く古い時計。中に入っているのは命があるかのような清潔な液体。
…「我が友よ、一つの霊光をあなたに。どうか大切に保管して。」
「あの子は花の霊知と天空の血筋に由来するもの。生命の純粋さを持っているわ。」
「霊光は花の中心にある一点、千万の甘露の中で光を受ける一滴。」
「どうか私からの贈り物を大切にして。黒淵が生命を飲み込むその日まで…」

遥か昔の寓話は葉と花の間に受け継がれ、実と種の記憶に刻まれていく。
花の女主人が塵となり落ちて、砂海の主が虚妄の夢に惑わされるまで、
僭主である暴君が千変万化する砂丘に埋もれ、野望の火がやがて消えるまで、
土から生まれたものが黄砂に帰り、流れる風が雨林に帰るその時まで…
草木の女王は世の移り変わりを静かに見守り、亡き者との真摯な約束を心に深く刻んでいる。

「この一点の霊光を守ると約束して。私の同士よ、私が愛する友人よ。」
「私が亡くなった後、人は『おくるみ』に包まれた赤子のように彷徨うでしょう。」
「脆弱でありながらも力強く、いつかは暴風と烈火、そして自身の不完全なところをきっと克服できる。」
「けれど、私が憂いているのは予見できる災いではなく、混沌とした漆黒なの…」
「漆黒の悪意と『死』の脅威だけが、蕾を踏み潰せるのだから…」

かつての楽園が鍍金の砂に飲み込まれた時、草木の主は昔の約束を果たした。
霊光の願いに耳を傾け、そのために美しい体を作り、眩く絢爛な命に形を作り変える――
それが神鳥「シームルグ」、千万の鳥の色を一つの身に、千万の花の和声を唱和する…
オアシスの最後の夢は一つの体に集められ、神鳥の体の奥深くで、輝く純粋なる無限の花海となった。

喜楽無限の宴(きらくむげんのうたげ):美酒を入れていた華麗な盃。今はもう空っぽだ。
…花園の女主人が亡くなった後、草木の女王は砂海と決別した。
そして、狂愛と権威を捨てた彼女は雨林に戻り、生命の道を守ることを選んだ…
それから、雨林には新たな命が芽吹いていった。賢者たちは自然を意のままに操り、家々を作った。
狂想は必ず死に至り、死の教訓は凡人を戒める。

花の霊光はもっとも満足した宴の、もっとも純粋な喜びから生まれたもの。
その中には苦行による辛酸も、権威による生臭さも一切ない。
彼女の運命は最終的に死に、乾いた結末へと通じている…
知恵の主だけがそれを証明でき、保管して利用できるのだ。

「しかし、女主人の予言は忘れてはならない。あの方が、私をあなた様に託したのだから。」
「愚行は人を滅ぼすには至っていない。だが、世界の外より訪れた漆黒の潮はすべてを飲み込むはずだ。」
「私は女主人が残した最後の魂であり、すべての花を浄化する要。」
「至純なる水と混ざり合えば、私はザクロのように幾千万の輝く光を放つだろう。」

こうして、神鳥シームルグは花の霊光から生まれると、
主人の傍にしばらく留まった後、花海へと飛び立った…

霊光明滅の心(れいこうめいめつのこころ):繊細な作りをした、鮮やかな耳飾り。無数の花が輝きを放っているようだ。
…「友よ、聡明なる早逝をした親愛なる友よ…」
「永劫に変わってゆく絢爛たる伝説の中には、灰色の忘却が潜んでいる。」
「生と死が常に隣り合わせているように、忘却もまた、記憶の伴侶だから。」
「死の漆黒の脅威がなければ、いかなる命も軽いものになるでしょう。」
「忘却の潮に洗い流されることがなければ、心に銘記すべき歴史もなくなるでしょう…」

遥か遠い昔、草木の女王は彼女の助言に従い、
神鳥の姿を花の霊光に託すと、雨林の一角を守った。
花の運命が凋落するものであるように、シームルグの宿命は犠牲にある。
翠の主は花の王と共に眠った夜から、既にその理を悟っていた…

「そして、翠色の神鳥は幾千万の霊光を放ち、ヤツガシラのように飛び散った…」
「霊光は甘露の主の澄んだ屍に降り注ぎ、華やかな花海を生み出した。」
「花海では百種もの霊が、草木と露の願いを胸に、すべての穢れを洗い落とす。」
「花海では百種もの霊が、草木、甘露、花の三人の母のことを謳っている。」

いつの日か、娘は三人の母の懐から離れることになる。
なぜなら、この世は穢れに満ちており、犠牲のみがそれを洗い流せるからだ…