シュテル

「スチームバード新聞」コラム作家
場所:フォンテーヌ廷地区・フォンテーヌ廷・ヴァザーリ回廊上層

…美しい顔が雨粒に濡れた。彼女は微笑む――私ったら、なんて運がいいのかしら。
これで泣いてることを、彼に知られずに済む…

①何を言ってるの…?
→ああっ…わたくし、小説のお話を練っているんです。担当編集が二日連続で取り立てに来たんですもの。これ以上引き延ばせませんわ…
ー疲れてるみたいだね…
→ええ、連載小説は本当に難しくて…
暇を持て余して、時間つぶしに筆をとっただけの恋愛小説でしたのよ。まさか、それをこれほど皆さんに愛していただけるなんて。
当時の私は何も分かっていませんでしたから、本当に軽い気持ちで連載契約書にサインしてしまいましたの。そのせいで…毎日夜更かしして原稿を進めるはめになって…
はぁ…この章を連載し終えたらやめますわ。別にお金に困っているわけではないんですもの…

②さようなら。
→「さようなら」――彼女はそう彼に告げた。
しかし、心の底で分かっていた。彼とはもう、二度と会えないのだと…