武器辞典ーー弓

アモスの弓(あもすのゆみ)

★極めて古い弓。元の主がいなくても、その力は変わらない。それは万物の中にある力であり、欲するものから遠くなるほど、その力は強くなる。

★不毛の上古時代。青々とした大地がまだ骨のように白い時代だった。
裸足で雪の上を歩き、少女は偏屈な塔の君王を追いかけた。

彼は彼女の至愛だった。だが烈風の王は凡人の弱さを理解できなかった。
彼は彼女の敵だった。だが彼女の目的はただの復讐ではなかった。

「海の波と砂浜を夢に見たの。緑豊かな森と大地を夢に見たの」
「果実の森で戯れているイノシシを夢に見たの。高い尖塔を夢に見たの」
少女は彼に甘えてみたが、君王は耳を傾けてくれなかった。

やがて盲目な恋から目覚めた彼女は気が付いた。彼が本当の心を持っていないことに。
彼女が溢れる愛情を伝えても、彼の周りには刀のような鋭い風が吹いていた。
君王の目には、果てしなく続く強風に立ち上がれない民が、自分を畏れて慕っているように映っていた。

あれは北風の僭主と高塔の君王が戦った時である。
女性の弓使いは君王に愛されていると勘違いしていた。
戦いの最後、反逆の風が吹いた。
無名の少年、無名の精霊、無名の騎士と共に、
塔の最上部に入り、風中の孤高なる君王に挑戦した。

「こうすれば、彼は見てくれるよね」

だが、彼女が弓を引いたその瞬間に、
烈風の王が彼女を引き裂いたその瞬間に、
彼女はやっと気づいた。自分と彼との間に雲泥の差があることに。

風花の頌歌(かぜはなのしょうか)

★名も無き花で飾られた弓、名も無き者の強き希望を宿している。

★モンドのおとぎ話に、このような軽やかな花がある、
烈風と極寒で育ち、乱舞する氷晶の中で咲く。

強風で根こそぎにされる普通の草花とは違い、
「風の花」と呼ばれる花は、風が強いほど根も強くなる。
今では、暴君に反抗した長き戦いは祭日の逸話として語られている。
花の姿も日につれてぼやけ始め、遠き風のような琴の音の中に溶け込んだ。

「無名の花を捧げよう。君の経験していない春は決して無意味ではない。」
「希望と笑顔を返報とし、我と共に烈風が止まる日を迎えよ。」

高塔の暴君が人々を見下す時代、自由の心を持つ人々はこうして呼び合った。
勇気と夢を求め立ち上がる人々はこれらを暗号とし、未知を歩んだ。
かつて孤独で脆かった花々は風に吹かれ、嵐に荒らされた山々に咲き満ちた。
そして、波の流れに従っていた群衆は、誇り高き英雄となった。
眉をひそめ高塔を守る君王は身を縮こめ、二度と荒れ狂う怒涛を吹き散らすことができなかった。

「無名の花を捧げよう。彼女から英雄の名を授かり、春と青空を守り続けよう。」
「朝の輝きが精霊になり、私たちと同行し、心地よいそよ風の中を漫遊しよう。」

古き尖塔の廃墟、生まれ変わった人々の歓声、歌声、涙の中、
とある赤髪の戦士が新生の神に背を向け、浪に落ちる雨粒のように群衆の中に埋もれた。
彼は風の花で隠語を伝えた先駆者であり、夜明け前の長い暗闇の中で暁を迎える。
彼の名はとっくに時に埋もれてしまった。しかし彼の行いは詩で広く永く歌われている。
千年後、もう一名の赤髪の騎士は彼と同じように、旧貴族の暗き歴史を照らした。
重圧に圧され、奮起という選択しか残されていないときに花を咲かせる――そう、「風の花」の運命のように。
この一族の運命も、決して変わらないだろう。最も暗い闇に身を投じ、夜明けの光をもたらす…

千年に渡って流れる風の中で、「風の花」のイメージは徐々に消えていった。
平和な時代の中、その名には愛と喜びの意味が付与された。
これこそ、暗闇の中を揺るがなく歩んだ人々が望んだことなのだろう…

「満開の花は、反抗の狼煙や旗を揚げる者の暗号ではなく、」
「愛と、春の到来を象徴するものであるべきだ…」

鴉羽の弓(からすばのゆみ)

★鴉は死の使者だと言われている。鴉の羽を弓は獲物に終末を告げる。

★噂によれば、渡鴉は死を告げる使者。
鴉の羽を弓幹に飾れば、
弓を引いた時、弦の振動は獲物の死を宣告するだろう。
少なくとも、武器商人たちはこう言っている。

旧貴族の長弓(きゅうきぞくのちょうきゅう)

★かつてモンドを支配していた旧貴族の長弓。弦はまだ鈍っておらず、素早く弓を射ることができる。

★かつてモンドを支配していた旧貴族に使われていた長弓。その材料と細工は極めて凝っている。
そのため、長い年月が経った今でも当時から劣化していない。
狩りは貴族の暇つぶしの一つだった。
大自然に自分の力を示し、とれた獲物を民に配り、恩恵を施した。
しかし記録によると、彼らは最終的に徳望を忘れ、支配する力も失ったとされている。

反乱が起こり、長い間モンドを統治していたロレンス政権が倒れた。
新しく設立された騎士団は徳政の名の下に、ロレンス一族を深く追及しなかった。
その代わりに、一族の残党を追放した。

「追放の最中、父は人の裏切り、時代の変化、歴史の終結を嘆いた」
「かつて故郷を追われた臣民が、緑豊かな地で、歌い、踊っているのを見かけた」
「何年も経った今、やっとわかった。裏切られ変わったのはロレンス一族の私たちだ。モンドは本来そういう都だ」
ヴァネッサは腐った政権に止めを刺した。彼女は怒りを露わにし、その力を示した。
人々に密かに称賛される義賊や、生死の隙間を見る少女、あるいは暗殺を企てた剣楽団のように、
モンドの人々には反抗の血が流れているのだ。

弓蔵(きゅうぞう)

★錆だらけの鉄の弓。かなり重いため、矢を射るどころか、持ち上げることも困難である。

★鉄のように硬い古びた弓、ある有名な弓使いが所有していた。
弓は弓使いと共に、魔物や盗賊を簡単に倒す場面を経験してきた。
彼は弓術の極みの道を追いかけていた。
弦音は鳴りやまない雷のようで、
天空を貫いた矢は日の光を覆い隠す鉄の雨のようだった。

晩年の弓使いは悟った。
「極めし者、無に還る」

それから弓による決闘の話や、
鉄の弓で魔獣妖怪を討伐した話を二度と語らなかった。

その後、彼は弓を埋葬し、城外の山に隠居した。

彼の最期に伝説が残っている。
彼が生きていた時、夜になると屋敷は眩しく紫色に光り、妖魔も恐れて近寄らなかった。
亡くなった日の夜は激しい嵐だった。落雷は一度だったが、伴った閃光は天空を突き抜けた。

黒岩の戦弓(こくがんのせんきゅう)

★黒岩でできた弓。かなり硬いため、腕に自信のある射手だけが思うままに使いこなせられる。

★希少な黒岩で作られた長弓。風に導かれた矢は百発百中となる。
弓柄の中央は黒いが、両端は血のように紅く、握れば冷たく感じる。放たれる矢はまるで流星のよう。

璃月の雲氏一族は長い歴史をもつ鍛造の名門である。さらに七代目の雲輝は七星の一人で名望が高い。
雲輝には一人の娘がいる。名前は雲凰。一族の慣習に倣うと、雲凰の夫になる人が雲輝の跡を継ぐことになる。
幼い頃から武術を学んだ気が強い雲凰。彼女は「女性でも跡を継ぎたい」と主張し、一時話題になった。
しかしこの時、雲凰が跡を継ぐ可能性は低いと思われた。

当時の大地は危険だった。頻繁に坑道が崩落していた。
崩落によって鉱物が地中深くに埋まり、採掘ができなくなった。武器の鍛造や跡継ぎの話も難しくなってきた。
その日の夜、彼女は眠れずに居た。一族の歴史が自分の代で終わるのではないかと心配した雲凰は、
悲しみに暮れ、神に祈るしかなかった。

翌日、かつて父の跡を継がなかった寒策は職人の衣装で現れた。
そして、木の匣を雲風に渡した。中には「試作」を改良した設計図が入っている。さらに一張の弓も取り出した。
「全ての始まりは黒岩である。終わる時も黒岩であろう。雲さんは弓使いと聞いたが、差し支えなければぜひ使ってくれ」
雲凰はその弓を引いた。矢は稲妻のように天へと飛んでいき、弦の空気を震わす音が山に響き渡った。
雲を裂く一矢。鉛色の空から顔を出した月を見て、彼女は転機を予感した。

祭礼の弓(さいれいのゆみ)

★西風騎士団でよく使われる弓。優れた弓使いだけがその優れた性能を発揮できる。

★東にある海を一望できる崖で、古の住民は時と風の神を一緒に祭った。
「風が物語の種をもたらし、時間がそれを芽生えさせる」という思想が、度々両者を混同させた。
この弓は開拓を語るもの。その難しさを示す。
もともと引けない弓だったが、時の風で強靭さと柔軟さを両立させた。

この弓はかつて誇り高いロレンス一族が所有していた。
遠い昔、彼らは雪の中に道を拓く勇者を演じた。

祭祀演劇の第1章は開拓者が力と知恵で大地を征服することを描いた。
長い歴史の中、例え祭祀自体がなくなっても、彼らはそう演じ続けた。

しかし、その信念は歪んでいった。結局彼らは自分を征服者、王者だと考えた。
歪んだ道を歩んだ末、彼らはモンドの風の寵愛を失った。

シャープシューターの誓い(しゃーぷしゅーたーのちかい)

★ある優れた射手が使っていた極上の弓。強いオーラを放つため、狩りには向いていない。

★伝説によれば、遠い昔の出来事である。
あれは上古時代の悲劇。兄弟が武器を使って殺し合った。
その中で、ある偉大な弓使いは侮辱を受けた。彼は敵を討つ誓いを立てた。
そして、敵を討つ前に、敵の喉を突き通す前に、
その血を流し尽くすまで、絶対に足を洗わないと誓った。
噂によれば、その人は最期、足の病気に感染して亡くなったらしい。

終焉を嘆く詩(しゅうえんをなげくうた)

★詩人の楽器のような美しい弓。放った矢は嘆き声のように心に響く。

★「西方の風が酒の香りを連れて行く」
「山間の風が凱旋を告げる」
「遠方の風に心が惹かれる」
「サラサラと君への想いを歌う」

かつて、いつも悲しげな騎士がいた。
この歌だけが、彼の心の癒やしであった。
広場でこの歌を歌う少女だけが、
彼の仕事の疲れを癒やしてくれた。

古国に降臨した災いの戦火はこの地にまで及んだ。
風が運ぶ喜びの詩は、毒龍の咆哮や、
大地を揺らす魔物の足音、そして啼き声と烈火に飲み込まれた。
王位継承を望まぬ風神は慟哭に気づいた。
旧き友の夢を守るため、風に恵まれた緑の野原を守るため、
風神は長い眠りから目覚め、天空の紺碧の龍と共に戦った…
そして、騎士と騎士団も自分たちの国と故郷のために戦った。

猛毒の龍が氷結の山に落ち、紺碧の龍が尖塔の古城で眠りについた時、
騎士は谷戸で命を落とした。最期の瞬間、少女の姿が脳裏に浮かんだ。
「遠方に留学した彼女は無事だろうか。もっと彼女の歌を聞きたかった」
「まだエレンドリンとローランドが生きている。彼女が戻ってくる時、この災害は収まっているはずだ――」

神を称賛し、2体の龍の戦いを描写した詩はたくさんあったが、やがて失われていった。
少女が歌っていた大好きな歌も、彼女が帰郷してから歌詞が変わった。
「蒲公英は朝の風と旅に出る」
「秋の風は収穫をもたらす」
「しかしどんな風も」
「あなたの眼差しをもたらしてはくれない」

涙も歌声も枯れた時、少女は命を燃やし、世界を浄化しようと決めた…

狩猟弓(しゅうりょうきゅう)

★狩人が奏でる音楽は二つの音色で構成される。弦が震えると音と矢が空気を破る唸り声である。

★言い伝えによると昔、モンドでは弓の弦を楽器として奏でていたと言う。また、琴の弦で矢を射る吟遊詩人もいたらしい。だが、どちらも所詮古い民間の言い伝えに過ぎない。

★シュッツから購入できる。

西風猟弓(せいふうりょうきゅう)

★西風騎士団でよく使われる弓。優れた弓使いだけがその優れた性能を発揮できる。

★西風騎士団の特製リカーブボウ。在籍年数の長い優れた弓使いにのみ授けられる。
橡木で作られた弓。特殊な手法により、木の強度を保ち、尚且つ金属を軽量化している。
弓弦に錬金術と魔法の力が秘められており、弓を100回引いても虎口への負担はない。
この弓はモンドの守護者へのご褒美であり、モンドを護る武器でもある。

過去、西風騎士団には極めて優秀な弓使いの斥候部隊があり、偵察騎士と呼ばれていた。
創立者は璃月出身の傭兵リーダー。彼は自分の見聞と知識の全てを偵察騎士たちに教えた。

荒野における追跡スキルや、危険を察知する直感など、どれも騎士団が持っていなかったものだ。
故に、偵察騎士の力は騎士団にとって非常に貴重なのである。

ある日突然、最初の偵察騎士が騎士団をやめた。原因は誰にも分からない。
それ以来、この部隊は名前だけの存在になった。当時の編成もそのまま残っている。
しかし、今なお偵察騎士の名に泥を塗らないように、日々頑張っている人々がいる。

絶弦(ぜつげん)

★かつて楽器として有名だった弓。今はもう踊りに使うことはない。

★精巧な彫りが美しい弓。弓弦はいろいろな種類の糸が撚り込まれている。
弓弦を弾いて鳴らすと、癒しの流水音を奏でる。
しかし同時に、心臓を射抜く矢を放つ。音色と共に死をもたらす。

楽団の解散後、全ての弓弦が切られた。切る際には非常に耳障りな音が鳴った。
弓は美しい音色を失い、弦だけが残った。それでもなお強力な武器であることに変わりはない。

流浪楽団は鳥を地上に落とせる。鳥たちは弦音に惹かれたか、あるいは弦音を伴う矢に射抜かれたか。
音楽と共に散り行く微風と星拾いの崖の花のように、琴師は軽薄ながらも揺るぎない信念を持っている。
反乱失敗後、楽団のメンバーは四方八方に逃げ始めた。
琴師は仲間を援護するため、音を失い、矢を使い果たしても、最後の最後まで戦っていた。

琴師の出身地は華やかで美しい異国の地。各国を旅して本当の自分と運命を探していた。
彼が故郷の宮廷に別れも告げずに去っていったことに、周囲の少女たちは、声が出なくなるほど泣き続けた。

彼はモンドの平民に恋したが、その子はバドルドー祭の悲惨姫に選ばれてしまった。
無名のまま他国で亡くなった運命を、彼は悔やんだりしなかったらしい。
唯一の遺恨は、やっと愛を見つけたのに、それを唄うことができなかったこと。

蒼翠の狩猟弓(そうすいのしゅりょうきゅう)

★青緑色をした高潔な狩猟弓。かつて森を行き交う狩人が所持していた。

ある狩人の弓。緑色の弓は簡単に野原に溶け込める。
朝日が差した緑の草木や林間を行き交う獣のように純粋で、
一切の悪意を持たない弓。無益な殺生は行わない。

無名の狩人は都市から離れた地で育てられた。
「我々は大自然の中で生まれた。草木さえあれば、我々の前に阻むものはない」
「我々は鳥獣と変わらない。天地の理に従えば、生死に怯えることはない」
「大自然の理に従う万物は、最期に果てのない野原にたどり着く」

狩人は跡を残さず、大自然を敵に回さない。この信念に従い、
矢に心臓を貫かれた獣を慰めていた。その命が大自然に還るまで。
もし災害が起こらなかったら。血の跡を追って、
いつもの休憩場所の木の下で、死にかけた盲目の少年と出会わなければ、
彼女は復讐に駆られず、鮮血と火花に突き動かされることは無かった……。

「忘れないで、善良なヴィリデセルン」
「忘れないでよ、あなたは緑の森の子だから」
「争い、憎しみ、あるいは名誉のために矢を放ってはいけない」
「血に染まった者は永遠に、あの果てない緑の野原に辿り着けない」

「せめて、この弓は憎しみや血に汚れないように」
「師や先祖に会える彼方にたどり着けないというのなら」
「この弓だけは無垢なままにしたい。代わりに私の思いとお詫びの気持ちを伝えてもらいたい」

ダークアレイの狩人(だーくあれいのかりゅうど)

★豪華な装飾が施された長弓。一度も捕らえられたことのない義賊が所持していた。

★暗い色に塗られた上等な弓。幽邃な夜色に溶け込むことができる。
凛とした貴族が狩猟する時に使っていた弓であったが、
一度も捕らえられたことのない義賊の手に落ちた。

この弓の持ち主は、闇に紛れて貴族の王冠を射ち落とすこともあれば、
きつく締められた首縄を切り、追っ手の武器を射ち落としたこともあった。
彼は暗い時代に光をもたらすと、
迫害を受けた者に公平を、富と笑顔をもたらすと誓った。

彼は誓いを果たした。そして、貴族に恐怖と怒りをもたらした。
夜の路地。雨のような足音と、酒場や広場に居る詩人の歌声が響く。
鋭い長槍を持ち、賊を狩る碧眼の魔女に、貴族から奪った紺碧の水晶を渡した。

しかし、想いを寄せた冷たいサファイアのような魔女の笑顔を、
最後まで目にすることはなかった。
そして、死を追う魔女の花のような顔には罪人の入れ墨が彫られ、やがて行方不明となった…
最後、義賊の男は弟に諭され、誓いを捨てて海に向かった――
「彼女はまだ俺の歌を覚えているだろうか。路地に漂う酒の匂いと彼女に贈った歌をまだ覚えているだろうか」

弾弓(だんぐう)

★弾弓ではなく弓である。無数の改良と実験を経て、最後にできたのは弓であることに製作者自身も気付いた。

★昔、弾弓の射程と精度を改善しようとする男がいた。
弾弓のゴムを変えて射程を伸ばせば、精度が落ちる。
彼は弾弓の弾を長い木製の竿に変えて、竿の後部に鳥の羽をつけ、空気抵抗を一定に保つよう改良を加えた。
長い竿を使えるようにするため、弓弭を伸ばし、逆さまにすることで、弾力を増すことに成功した。
結局、一張の弓を作ったことに彼は気づいた。

澹月・試作(たんげつ・しさく)

★黒岩場の中に隠されていた長弓の原形。矢を放つ時の姿は夕方の月と似ている。

璃月の武器工場が作った古い長弓。製造番号や製造時期は不明。
樹齢五十年以上の木を使った長弓。金色の絹が飾ってある。
弦は大地の深所にある銀白の木を使ったため、強靭さを持つ。

かつて、璃月の雲氏は「試作」という伝説の武器シリーズの設計図を書いた。
主流武器である長弓も当然その中にある。
寒武は友である雲輝の依頼を受けて、長弓の製作を始めた。

彼は海の商人に頼んで、柘木、精鋼、銀の枝を手に入れた。
全ての素材は上質な物である。できた弓は少し冷たいが、頑丈で使いやすい。
弧は残月のように美しい。しかし、月と比べると少し薄暗い。
弓を引くと弦が美しく光る。一度見たらその美しさを忘れられない。

長弓の名は「淡月」。
絶世の美女のように、一度見たらまた見たくなる。後の璃月の長弓の原点はこの淡月である。

天空の翼(てんくうのつばさ)

★風龍が風の神の眷属であることを象徴する大弓。矢を放つ時の音は風の神の贔屓であり、蒼空と長風の力が秘められている。

★天空を貫く琴。
その透き通った琴の音は未だに風と人の心に響いている。
伝説によれば、深䆳古国の魔龍もその音に惹かれて風の国に来たらしい。

昔、風の神バルバトスは竪琴を撫でるように奏で、無垢な千風と唄を唄った。
不羈な風と歌に酔い、巨龍トワリンは大地に降り立ち、彼に忠誠を誓った。
バルバトスは新しい仲間ができたことに喜び、モンドを護る使命をトワリンに託した。
流れ者であった風神と風龍の絆により、黎明期のモンドを護った。

伝説に残る一戦。最後は琴声によって魔龍の攻撃が一瞬止まった。
風の龍はその一瞬の隙を狙い、魔龍を仕留めた。

激闘の末、長い眠りについていた風龍が、ついに目を覚ました。
風龍の前にバルバトスは現れず、龍の全身は毒に蝕まれていった。
それは見えない苦しみと聞こえない痛みだった。
毒が全ての悲しみを壊し、風龍を苦しめた。

風龍は自分が護った人々に苦痛を告げた。
かつて忠誠を誓った風の神に恨みを告げた。
自分の苦しみを無視する冷酷さを、
神でありながら、自らの眷属を容赦なく裏切ったことを。

悲憤の眷属は知らなかった。風の神は未だ彼を救うために奔走していることを。
憎しみの情に圧倒されたが、神の象徴である堅琴は思慕の念を抱いている。
百年の誤解は解ける。
風龍は再び神の唄を聴ける日がやってくる。

冬極の白星(とうきょくのはくせい)

破魔の弓(はまのゆみ)

★ある巫女の所有物だった戦弓。優れた技術で作られ、精巧で強靭である。

★「降りろ、船の上じゃ女は邪魔だ!」赤穂百目鬼と呼ばれた海賊がそう言って、背を向けた。その言葉を聞いた巫女は不意に笑った。私に弓術を教えた人が戦地へ赴いていなかったら、私たちの子供は、左衛門くらいの歳になるだろう。私の名字は高嶺になるか、彼の名字が浅瀬になっていたかもしれない。

左衛門の口調や、わざと背を向ける仕草は、あの人が刀を掲げて去っていく時とそっくりだった。今度は絶対にこの人を死なせない。「雷の三つ巴」の旗と敵対してでも……

「帆を上げる時が来た。銛も刀も鋭く磨いた」「官兵どもに、セイライの意地を見せてやれ!」

出航の歌を聴きながら、巫女は弓を下ろした。影向山でこっそり学んだ本物の「法術」天狗の師匠には申し訳ないけれど、ここで使わせてもらう。千年の大結界を解き、紫電の鸢の死に際に恨みに、雷神の旗もとの船を壊してもらおう。あの老いた猫が、雷に突っ込んでこないことを願って……

飛雷の鳴弦(ひらいのめいげん)

★将軍から賜わった長弓。消えぬ雷光が輝いている。

雷光光る銘弓。暗闇に浚われても、光を失わない。
海の向こうから災厄が訪れた苦難の時代、とある剣豪の得意武器だった。

剣豪が少年の頃、山を闊歩し、偶然出会った大天狗と賭けをした。
若く強い肉体と将軍が賜った弓をお互い賭けて。

あの賭けの過程がどうだったかは、たぶん酔っていないと思い出せないだろう。
空が白む頃、三勝三敗、天狗と引き分けた。
不幸なことは、天狗の小姓になったこと。幸運なことは、無二の弓を手に入れたこと。

「昆布丸、天狗の弓術はこうだ。よく見ておけ!」
わけのわからないあだ名をつけられたが、天狗の勇姿も見れた。
雲間を自在に行き来し、躱したり、急降下したり、弓を引いて、雷の矢を放つ……
あれは紛れもなく、殺意の舞い。優雅で華やかで、それでいて鋭く予測不能。

数年後、小姓とは呼べなくなった歳になり、弓術や剣術もそれなりに磨いた。
そうして、気まぐれな主に幕府に推薦されてしまった。
将軍の麾下にいた頃、武芸が精進し、友人も仇敵もたくさん作った。
賭け癖が治らず、それどころか天狗の銘弓を持っていることで、さらに悪化した。

「賭けをしようか。そうだな、この弓を賭けよう」
「この世で最も良い弓で、生きて帰ってくることに賭けてやる」
「それはお前に預けておく。この高嶺が負けたら、その弓はお前のものだ」
「浅瀬は俺に弓術を習ったのだから、使いこなせるだろう」
「だが、もし俺が勝ったら……」

災厄が海から迫りくる時代、侍と強がりな巫女が賭けをした。
深淵より生還する機会と、将軍から賜った銘弓を賭けて。

漆黒の穢れが大地に沈み、再び平穏が戻っても、剣豪は帰ってこなかった。
賭けに勝った巫女の手に、将軍から賜った銘弓があった。
その後、狐斎宮が姿を消した杜の中、約束の場所で、
深淵より足を引きずりながら帰ってきた人は、若くない巫女と再会を果たす。
血の涙が乾ききった漆黒の瞳に光がさした瞬間、鈍く光る矢に射抜かれた。

文使い(ふみつかい)

★デザインがシンプルな木弓。かつて遠隔通信の道具として使われていたらしい。

★噂によれば、遠い昔、
璃月港に矢文を放つ文化があった。
「でも、それは街の人を傷つける可能性があるじゃないか」
「だからこそ、この一張は骨董品になれたのさ」
と骨董屋の店主は顎を撫でながらニヤっと笑った。

プレデター

★ユニークなデザインの弓。恐らくこの世界のものではない。

★依頼を受けた鍛冶屋に、このような作りとこのような名前にする理由を聞かれた。
その答えはかなり複雑なものだった。世界に満ちた機械獣だの、長柄武器はオーバーライドコードがないだの。

しかし鍛冶屋はすぐに理解した。つまりこの弓は、強大な機械生物を狩って殺すための強力な武器であり、その世界最強のプレデターだったわけだ。

しかし、不思議な少女は彼を訂正した。
単純に、この世界では弓矢で獣肉を獲得できるようなのだ。次はこれを使って、イノシシを狩ると彼女は考えた。

曚雲の月(もううんのつき)

幽夜のワルツ(ゆうやのわるつ)

★罪と幻想の夜を想起させる色をした弓。

★……
「お嬢様、巡礼の中で流した涙は決して無駄にはなりません。」
静寂の国の巡礼が終わった時、オズヴァルド・ラフナヴィネスは皇女にそう言った。

長い時空を超えた旅の中で、「断罪の皇女」と「昼夜を断ち切る黒鴉オズ」は無数の物語の終わりを見届けてきた。雨の一滴一滴が、旅の終わりに海へと流れ込み、少年たちの怒りは鎮まる。情熱が時間に摩耗されなければ、逆巻く古樹のパラノイアとなる。時の木に立つ壮大で偉大なレマ共和国の枝は、やがて切り落とされ、狼の双子のもう一人に国を明け渡すだろう。
世のすべては破滅とともに、皇女の未来の国へと来たる。静寂と暗闇に包まれているガーデンの中で、眠りにつける片隅を探す。
それでも、ドゥロクトゥルフトが少年の夢と未だ落ちぬ雨雫のために「世界の獣」に寝返り、その爪で切り裂かれた時、皇女は涙を流した。

「覚えておきなさい。オズヴァルド・ラフナヴィネス、幽夜浄土の皇女は涙なんて流さないわ。」
彼女はそう答えた。「この世は、誰もが罪を背負っているの。判決の鐘が鳴り響く時、闇夜が再び世界を覆う。人も獣もその中でもがく姿は、ただの幽夜のワルツに過ぎないわ。」

「お嬢様のおっしゃる通りでございます。」
「ふん、分かればいいわ。」
「ではお嬢様、この物語は、まだ覚えていらっしゃるでしょうか――」

原初の宇宙に香り漂う海を輝かせ、アランニャの獣をかき鳴らしていた三つの月のうち二つは、世界の果てを引き裂く剣によって砕かれ、皇女の魔眼にすら映らないほど細かい砂となった。
あるいはこうだ――かつて宇宙を照らし、安らかに眠る三つの世界の人々に夢と歌をもたらし、夜明けと夕暮れの間を彷徨う獣に欲望を生み出させた月は、ついに砂となった――それでも、皇女のそのすべてを凝視する瞳に宿り、より多くの儚い光をもたらすことを願う。

そう、皇女は涙を流さない。
あれは、無礼な砂が彼女の目に入り、体が起こした拒絶反応に過ぎないのだ。

~完~

リカーブボウ

★蒼鷹を射る狩弓だが、本当に射られるかどうかは弓使いの腕次第である。

★木材に、動物の骨と腱を組み合わせ、念入りに作ったリカーブボウ。
腕の立つハンターが使えば、空を飛んでいる鳶を射落とせる。
ハンターの誇りであり、卓越した弓術の証である。
ただ、標的となった鳶は無駄死にだった。

リングボウ

★金属で作られた、滑車で弦を引く複合弓。異国から来たものである。手入れが難しいが、楽に矢を放つことができ、威力もかなり強い。

★世の全てが璃月にあり。これは偉大な璃月港への讃美である。
他の国の珍宝も人と共に璃月港に来る。
短弓だが、特別な構造と卓越した製造方法により、長弓よりもはるかに破壊力がある。
ただ、日常の手入れもより難しい。武器というより、異国の知恵の結晶と言うべきだろう。

異国の学者に改造された、滑車をつけた弓。
元々学者は武器に興味がなく、誰の血も見たくなかった。
弦を張った姿と、矢が飛んでいる時の美しさを見た時から、
彼はこの「兵器」に心奪われた。彼は弓をより強くするために改造を始めた。

自分の成果は今後の戦争に、人を殺すために使われると分かっていた。
しかし、学者は改造の快感に溺れた。
結果を考えず、ただただひたすら改造を続ける。

ある兵士がこの弓を使って、雁を射落とした。
「いい弓だな」
兵士は思わず口にした。
死に際の雁が発した悲鳴に、兵士の心は強く打たれた。

歴戦の狩猟弓(れきせんのしゅりょうきゅう)

★長い年月の中で、経験と手入れを重ねたもの。射手の動きに合わせてくれる使いやすい弓。

★ワーグナーから購入できる。寒鋒鉄器、天目鍛冶屋でも購入できる。