武器辞典ーー長柄武器

喜多院十文字槍(きたいんじゅうもんじそう)

★ヤシオリ島で「祟り神」を見守る槍術の名士が使っていた特殊な長槍。

★喜多院文宗が自身の槍術に合わせて設計した変わった形の槍。素人が扱えば、特殊な重心が扱いづらく感じてしまう。だが正しい使い手なら、破格の破壊力を発揮できる。

喜多院は遥か昔、「祟り神」を殺す家系だった。長い間、「ヤシオリ守」を務めてきた。

昔々、稲妻の地に伝わる童謡にこういうものがあった。「大手門荒瀧、胤の岩蔵、長蛇喜多院、霧切高嶺」大地を照らしたい眩い武人たちを讃える歌だ。昔はもっと沢山の名前があったが、それらは歴史に埋もれていった。長年妖魔を殺す者は、穢れた血を飲むこともある。

旧貴族の猟槍(きゅうきぞくのりょうそう)

★かつてモンドを支配していた旧貴族が愛用していた長槍。長く封印されていたが、槍先は未だ鋭い。

★かつてモンドを支配していた古い貴族が収蔵していた槍は、素材から製造まで非常に拘りがあった。
そのため、幾世代がたった今でも、新品のように見える。
しかし、貴族の時代では、それは日の光に当たる事なく、月光を浴びていた。

高貴な身分の者は長剣で戦うべきであると、貴族は考えていた。
刀身がぶつかり合う音は、崇高な魂の叫びである。
槍や弓は、身分の低い兵士や平民の武器だ。

熊手と木の槍を握った平民は、剣を持った貴族にも負けない。
古いモンドの統治者には受け入れ難いが、これが事実なのだ。

言い伝えによると、かつて貴族の血筋を持つ青年は、
探し当てた職人に、一族の美しい家紋が彫られた鋭い武器を作らせた。
それは、青年と同じように血を流させなければ、
決して家族から認められる事のない武器であった

何かを変えたいのなら、力を持たねばならない。
それは、貴族に相応しくない武器にとっても、
月明りの下でしか槍を振るえない影にとっても同じだ。

『漁獲』(『ぎょかく』)

★遠い昔、稲妻に名を轟かせた大泥棒が愛用していた槍。

★昔、稲妻に名を轟かせた大泥棒が愛用していた槍。
本来は漁猟用の話だが、戦闘時にも活躍する。
剣を持つ魔偶でさえも、貫通されたことがある。

「ははっ、かつて俺はこの『セイライ丸』の主だった。」
「十隻以上の船を指揮し、セイライの不死鬼として名を轟かせた。」
「今の俺は海に浮かぶ一枚の葉っぱのようだ。」
「もし蛇目を島の棄民たちがいなかったら、」
「再び船で故郷に足を踏み入れることすらできない。」
「しかし今、俺のセイライはもうこのザマだ。」
「稲妻列島にも、もう俺の居場所はない」
「心配性だった神社の年寄りの巫女も、いなくなっている…」

かつて赤穂百目鬼と呼ばれた盗賊がこう嘆いた。そして彼はこう言った…
「蛇目!俺は今世界で最も自由な男だ!」
「巫女のばあちゃん!お前は世界を見てみたいって言ってたじゃないか?」
「いつも話してた惟神と昆布丸が行った場所とか、」
「この俺、赤穂百目鬼左衛門が連れてってやる!」
「世界の果てがどんなものか、一緒に見に行こうぜ!」

「全ての路線の終点で、必ず再会する!」
「時が来れば、俺が遠国の話をする番だ。」

草薙の稲光(くさなぎのいなびかり)

★「草斬り」に使われる薙刀。この武器の前に立ちはだかる軍隊は、草のように刈られるだろう…

★薙刀は、穢れを除伐するための武器である。
薙刀を振るう者は、恒常の道を守っている。

雷雲の上に立つ者が大切にしている俗世を俯瞰する時、
目に映るのは浅はかな争い、そして閃滅する泡影…
そのような争いは、恒世の敵である無謀な愛執と狂欲に起因するものだ。
不変の恒世を乱す雑草は、雷光により殲滅されるだろう。

「であれば――■■■の瞳に映るのは、どのような永遠なのでしょう?」
鮮明な記憶の中、櫻の下で彼女と一緒に酒を飲んだ神人は、このように尋ねた。

実にくだらない質問だ。
酒のせいで、その答えを思い出すのはもう不可能。
しかし、彼女は無数の追憶の中から、その答えを導き出した。
甘美の実には青果、染料には花が必要。
永遠なる静寂の地では、一点の曇りも許されない。

「それでも、それでも…」
「その尊き薙刀で妄念を根絶し、夢想が生滅を許容する可能性を無くす…」
「争うこともなく、得失することもない静寂な世界。それが記憶を失った謎い道となるでしょう。」
永遠なる心の中、旧友は今でも鮮明で、緋櫻の香りも新鮮なまま。

年月を経ても記憶は残るように、あなたのことも決して忘れない。
何故なら…

何故なら暗闇の中で大切な人が犠牲になるのを目の当たりにしたから。
理不尽な生と死、そして避けられない運命を、なぜ仇として見ないのか。
誰にも世の無常と緒絶の独楽を覆せないのであれば、
心の中の常世の浄土を、彼女の愛する国に送り届けてあげよう。

匣中滅龍(こうちゅうめつりゅう)

★金の龍の装飾を施した長槍。軽くて鋭い。龍が相手でも楽勝である。

★璃月に伝わる噂の長槍。
天に昇る龍の彫刻が槍の柄から穂先まで施されている。
噂によれば、槍の先を包むための龍型の鞘があったそうだ。つまり、龍の鞘から抜かれた槍で龍を倒したことになる。
だが、今はもう鞘はない。槍の矛先を隠す必要ももうない。
どんな強敵であろうと、流星の如き一撃で貫くことができるだろう。

伝説によれば、クオンはこの長槍を作った時、龍の背骨を槍身に、龍の爪を槍先にしたらしい。
故に槍身が強靭で槍先が非常に鋭く、槍の光沢に龍の凶暴さを感じられる。

昔、龍殺しの勇者がいた。この槍を手にし、海の魔物と戦った。
その後、龍殺しの英雄は行方不明になったが、海から龍の声が響き続けた。

英雄は伝説上の存在となり、龍殺しの長槍も伝説と共に衰えていった、
いつか過去の束縛から解放された時、海に戻る龍の勢いを再び得るだろう。

黒纓槍(こくえいそう)

★白紐の汚れやすい問題を解決した絶世の良槍。

★ある日の夜、白紐の槍を持つ士官は詩人と共にお酒を楽しんでいた。
一番盛り上がったところで、詩人がうっかりと硯を倒した。
零れた墨で槍の白紐が墨色に染められた。
「もちろん、これは士官と詩人の物語であり」
「わしが持っているこの黒紐の槍と関係はないのじゃ」
と言いながら、年寄りの職人が弟子の頭を軽く叩く。
弟子は真新しい白紐の槍を墨染めにしてもらった。

黒岩の突槍(こくがんのつきやり)

★黒岩と隕石でできた兵器。黒い剣先にある輝きの中で微かに血の色が見える。

希少な黒岩で作られた槍。雲と風を切り裂けそうな槍先は稲妻を彷彿とさせる。
槍先と槍身は黒い結晶で作られ、紅玉が飾ってある。
月明かりの下、槍身はまるで血が流れているように見える。

璃月の武器職人である寒武には一人の息子がいる。その子は寒策と名付けられた。頭が良く、優れた技術をもっているため、跡継ぎになってほしいと願っていた。
だが、寒策は鍛造に興味がなかった。侠客の書籍を読んだり、槍の練習をしたりして、槍客になる夢を抱いた。
求めすぎると求めているものが失われる。
鍛造に興味がない寒策を追い詰めた結果、ある日、何も告げず寒策は家を出た。

寒武は晩年の時に坑道の崩落事故に遭い、性格が激変した。寒策はそれを聞いて、急いで帰省をする。
元々おしゃべりであった寒武は無口になっていた。跡継ぎになってくれなかった息子を責めなくもなった。
その頃から親子の関係は回復し始める。寒策は親への申し訳なさで、どうしたらいいのか分からなくなっていた。
数年後、名匠は天に召された。父の遺言通り、寒策は書斎で伝説の「試作」シリーズの設計図を見つけた。
設計図を保存する箱には、一通の手紙が入っていた。
「我が息子よ、この広い世界を存分に楽しむが良い」

設計図には父の思いがこもっている。寒策は悲しみに包まれ、一晩中一人で座っていた。
朝、寒策がドアを開いた瞬間、鉄隕石が家の前に落ちた。
寒策は泣きながら笑った。これは天の意志だ!と。
鉄隕石に父から継いだ黒岩を使用し、設計図を参考にしながら槍を鍛造した。槍先が非常に鋭く、堅くて冷たい光が輝く。
それを持って世界を旅することはなく、鍛造――父の跡を継ぐことを選んだ。再燃の炎は二度と消えることなく今に至った。

護摩の杖(ごまのつえ)

★既に廃れた過去の祭儀で使われていた朱色の杖。

★炎ですべての不純を払い、穢れを炎の光と共に、全てを受け入れる中天へと。
この祭儀はかつて世の末時に存在し、各地の薪火を照らし、祝福と退悪の狼煙を起こした。

この灼熱の祭儀は遥か昔、争いの絶えない時代に流行した。
静寂な神骸の妄念と夢は、いずれ疫病や障気と化し、
彼らの物で無くなった民と元から属さない人々を連れ去る。

その際、死を救う医者は夕暮れの如き焔からそれを聞いた、
油が沸き、薪が破裂する音に隠れた囁きを。
「縛り無き焔のみが天地の穢れを浄化する」
「緋色の薪火を上げ、妖魔ども撃退せよ。」

医者は赤い杖を持ち、悪で穢れた物を燃やした。
悪事と災難に巻き込まれた往者と深い悲しみに耐えれぬ死者は、
火の中で塵の蝶に変わり、濁った世界の不幸と傷から解放される。
無数の薪を燃やしてきた医者も、いずれ蝶の如く煙へと変わっていくだろう。

平和と年月とともに祭儀は忘れ去られたが、
暗闇の神の威厳と対面し、心に焔を抱えた者はきっと聞こえるだろう。
煌めく焔の舞が囁き、縛り無き炎のみが天地を浄化すると…

斬波のきれ長(ざんはのきれなが)

死闘の槍(しとうのやり)

★血のように赤くて鋭い長槍。かつてはある剣闘士が重宝したものである。槍先は無数の野獣と人の血で染められていた。

★百戦錬磨の深紅の長槍。ある剣闘士の勇気の証である。
冷たい槍はいつも相手の血に染まり、雷鳴のような喝采を浴びていた。
剣闘士は血に染まる宿命。届きそうで届かない自由のために戦う。
深紅の鋼鉄が体を貫き、戦いに終わりを告げた。

奴隷の剣闘士は最後の一戦を終え、大地を揺らすほどの拍手を浴びた。その時、彼の主はこう言った。
「これで約束の勝利数に達した。よくやった。名誉に相応しい立派な剣闘士だ」
「この長槍は私からの送別の品だ。しかし、本当に戦いを止めるのか?」
「自由の身となっても、自分の、そして私の栄誉のために戦い続けないか?」
数年が経ち、無数の戦士や獣がその槍に貫かれた。
常勝の名は決闘の槍と共にあり、戦士の心は彼の主と共にある。

剣闘士の最期の一戦が終わった。大地を揺らすほどの拍手の中、
長槍は地に落ちた。赤い髪の少女が灼熱の剣で老戦士の心臓を貫いた。
戦士は崩れ落ち、敬愛する主、自分を愛してくれた高貴な主に顔を向けた……。
「エバハート、エバハート様……最後の闘い、ご満足いただけたでしょうか」
既に主の席には誰もおらず、去り際にこぼした盃と銀皿だけが残っていた。

「最初は自分のために戦った。自由のために闘志と血を沸かした」
「でもいつからか、あの方の名誉のために戦うようになった」
「他人のためになら、愚かな獣のように無心で戦える」
「自分のためではなく、一族のために戦っているお前なら、当然理解できるだろう」

新米の長槍(しんまいのちょうそう)

★旗竿のように真っすぐで、舞うと勢いがある。多くの状況に対応できる。

★モンドでは昔、槍を持つ事は貴族によって禁止されていた。表向きでは、剣術こそが高貴な嗜みであるためだと言われていたが、実際は、多くの鍛錬をせずとも扱える槍を平民の手に渡らないようにし、反乱を防ぐのが理由であった。

★シュッツから購入できる。

西風長槍(せいふうちょうそう)

★西風騎士団でよく使われる長槍。身が真っ直ぐで、槍先からそよ風が溢れている。

★西風騎士団の儀仗用長槍は閲兵儀式で使われる礼器であり、魔物と対抗する武器でもある。
風中を立つ喬木を探すことで、モンドの工学者が元素の活用方法で成果を挙げた。
この硬い槍は西風騎士の栄光だけでなく、モンドを護る人々の勤労と技術の結晶でもある。
肝に銘じてほしい。槍のように自律し、風の自由を守護することを。

古来より槍を武器にするものは距離の優勢で武芸の不足を補った。
木の棒を尖らした平民でも、剣を持った兵士に対抗できるかもしれない。
貴族の統治を覆した祝いとして、郊外には木の杖と旗ざお、ヘーホークがたくさん刺された。

剣術は貴族の風格と知恵を鍛錬することができるため、昔は必修科目の一つだった。
昔の時代では、槍は異教徒の武器だった。
しかしたった一人槍を使った貴族がいた。
伝えによると、エバハートは夜の軽風を借りて露をつついた。

私生児であったエバハートは幼い頃から貴族の栄光を復興することを目指した。
しかし、腐った根を揺るがすには強い力が必要だった。それなら――
嫡子である兄を唆し盗賊の夢を追いかけさせても、
自分が跡継ぎになっても、
裏で槍使いの魔女の弟子になり、その技を身につけた後、
魔女を殺しても…

「後世に唾棄されても、目的を果たすためにどんな手を使っても構わない」

星鎌・試作(せいれん・しさく)

★黒岩場の中に隠されていた古い鉤槍。槍先の輝きはまるで夜空の星のようだ。

★璃月の武器工場が作った古い長槍。製造番号や製造時期は不明。
黒い鋼鉄と黄金で作られた槍身に稲妻の絵があり、上品かつ豪華に見える。

魔獣の災いが終息した後、兵士たちは帰還し召集は解除された。平和な時代が訪れたが、世間では武術が流行り始める。
武器の供給は不足し、需要がますます高まった。さらなる高みを目指して、鋳造の名門である雲氏の当主と武器の職人である寒武は閉じこもり研究を始めた。
再び人の前に現れた時、二人とも髪の毛と髭が30センチ以上伸びていたらしい。今までの璃月の武器の概念を覆す「試作」シリーズの設計図も完成した。

最初に設計図に沿って作られた黒金色の長槍。槍先は通常の長槍より7センチほど長く、そして非常に鋭い。
月明かりを浴びた槍先は、夜明けに冷たく光る。

雲輝はこの武器を見て、父の若い頃の英姿を思い出した。父の英姿にあやかるように、名前の一文字をもらい命名した。
璃月の槍や戟などの長柄武器の原点は、この「星鎌」である。

千岩長槍(せんがんちょうそう)

★孤雲閣の岩の欠片を使って丹念に仕上げた長槍。槍先は非常に鋭い。

★古代の千岩軍兵士が愛用していた武器。
孤雲閣の岩の欠片でできている。龍の鱗をも貫けるらしい……。
あまりの重さに、現在の千岩軍は使用していない。

古代の千岩軍は岩王帝君を敬い、箴言に従って行動していた。
「千岩牢固、揺るぎない。盾と武器使ひて、妖魔を駆逐す。」
千岩軍の使命は、妖魔を討ち滅ぼし、街道や郊外を守ることであった。
平和な現代において、彼らの使命は秩序を維持することである。

昔、地震が頻発する時期があった。
地面を掘り出し、負傷者を救い出すため、屈強な千岩軍の兵士に、
古代戦争で用いられた極めて重い千岩長槍を配ったという。
「千岩長槍の鋭さは、岩をも簡単に貫ける」
「千人が一つになれば、我々の前に阻むものはなし」

遥か昔、激動の時代、
千岩軍の誰もが、この重い兵器を自在に操れた。
だから、彼らは岩王帝君の土地を守り、自分の故郷を守ることができた。
千人が一つとなり、千岩長槍の鋭さで全ての妖魔を駆逐する。我々の前に阻むものはなし。

鉄尖槍(てつせんそう)

★片方が尖っている、攻撃も防御もできる護身用武器。旅人の間で流行っているもの。

★ほぼ迫力を感じさせないみすぼらしい武器。守るべきものがある人や、己の身一つしか持たない旅人にとっては、そんな武器でも、十二分に力を発揮できるだろう。

★ワーグナーから購入できる。寒鋒鉄器、天目鍛冶屋でも購入できる。

天空の脊(てんくうのせぼね)

★風龍の堅い決心を象徴する長槍。真っ直ぐな身が天空を指し、蒼空と長風の力が秘められている。

★高天を支える脊。
風神の真摯な眷属、風の国を守る決意が揺らぐことはない。
揺るがない意志は風龍が悪と戦い続ける理由であった。

昔、モンドの平和を終わらせるべく魔龍ドゥリンが襲来し、野原を蹂躙した。
ドゥリンの翼は日の光を覆い隠し、黒い毒雲が散った。
気高い千風は雲に隠していた毒に耐えられず、
黒い雨が降り始め、人の号泣を覆い隠した。
その声に呼び起こされた風の神は、深い絶望で心が千切れた。
そしてトワリンは風と共に、満天の毒雲へと飛び出していった。

巨龍は高空から飛び降り、鋭い風が漆黒の魔龍の翼を切り裂いた。
風龍の翼を追いかけ、各地の疾風が集まり一気に黒雲を撃散した。
トワリンは爪と牙で毒龍を掴み、雲さえも届かないほど高く飛んだ。
漆黒の嵐は黒雲とともに消え、燃える空は巨龍が戦う戦場になった。

最後に風龍の牙は魔龍の喉を切り裂き、爪は胸を貫通した。
罪人の造物は遺恨を残して空から落ちてきた。
驚天動地の戦いは風神の民をアビスの危機から守り抜いた。
しかし、巨龍は毒の血を呑み込んでしまい、その体は汚染された。

遺跡に身を隠した風の巨龍は毒により苦しむ。
傷口を舐めながら、トワリンは再び蘇ることを信じた。
再び空を飛び、翳りを取り払い、親友の、風神の琴声で歌うことを。

ドラゴンスピア

★龍の牙で作られた長槍。妙に温かさを感じる。

★彼はとてつもなく長い夢を見た…

夢の中で彼は仲間とはぐれ、遠い道を行き、
歌声が響く、緑の草原にたどり着いた。
心優しい人々と共に歌を歌い、
宝石のように美しい巨龍が空を舞っていた。

目を開けると、吹雪が吹き荒れる山脈にいた。
緑の大地は火と血によって赤く染められ、
詩人の琴の音もその中にかき消された。
そして宝石のように美しかった巨龍は、
恋人のようにその牙を彼の首にあてた。

「さらばだ、これで俺の旅は終わった」
「白銀の雪の中に眠るのも悪くない」
「さらばだ、美しい詩人、美しい龍」
「もし違う場所、違う時間で」
「出会い、歌い、踊っていたら、どれだけよかったか」
死に向かう彼はそう思った。

「俺の血に宿いし祝福よ」
「この美しく漆黒の宇宙は」
「お前たちが引き継いでくれ」

白纓槍(はくえいそう)

★千岩軍兵士の制式装備。槍身は丈夫で槍先が鋭い頼もしい武器。

★千岩軍の兵士は長柄武器使いとして有名である。
手にする白紐の槍は黒岩工場の量産型の物。
この武器は数千年の間に起きた戦いを経験してきた。
白い紐が汚れても、戦場に舞う。

伝説によれば、かつて千岩軍に槍術の達人がいた。
千軍万馬の戦場で槍の白紐を汚さずに敵の将軍の首を簡単に取ったという。
「その伝説の主人公は槍ではなく、英雄の人だ」
「その武器はただの普通の武器だ」
と言いながら、年寄りの職人が弟子の頭を軽く叩く。
弟子は新しく作った槍に白紐をつけてもらった。

破天の槍(はてんのやり)

★あらゆるものを貫けそうな鋭い長槍。振り回す時は空気を切り裂くるような感じがする。

★それは遠い昔、船帆と海獣が波を漂う時代。
当時の璃月港は荒れており、海中では数多の魔獣が暴れていた。

伝説によると、深海には巨大な影がある。
それは渦潮を起こし、堅い船を砕き、獲物を底なしの海へと引きずり込むのだ。
一方、別の伝説によると、海には幻の島が霧の中で出現するらしい……
もし幸運にもそれと出会えたのなら、その者は島に隠されている財宝を見付けるだろう。
さらに別の伝説によれば、その島の正体はうたた寝をしている魔獣だそうだ。

水夫達の間に伝わる話は奇怪なものばかりだ。だが一つだけ、彼らが心の底から信じている話がある。
かつて、岩王帝君の槍が虹を貫き、海を荒らしていた渦潮を深海の中央に刺し止めた。

その日から、頻繁にイルカや鯨がその海域に集まり、泳ぎながら歌っているらしい。
ある人が言うには、と鯨達は自分達が崇拝していた神を憐れんで、悲しみの歌を捧げているとの事だ。
一方で、彼らは虹をも貫ける岩王帝君の宝器に、驚きの声を上げているのだと言う者もいた。

また、こんな言い伝えもある。
いつの日にか、岩君に封印された渦潮が再び目を覚ます。
風は深海の生臭い匂いを陸地へと運ぶ。それは、九つの頭を持つ水龍が引き起こす前兆である。
その時、「海にいるあれ」を鎮めるのは一体誰なのだろう……

鉾槍(ほこやり)

★矛の先に斧の刃を追加した兵器。悪くない破壊力を持つ。千岩軍兵士にも愛された武器である。

★武術を学んだ人であれば、誰でも長矛の力を発揮できる。いわゆる「一寸の長さは一寸の強さ」とのこと。
長矛の先に厚くて重い刃をつける。さらに重くなるが、叩き切ることを実現した。様々な場面で使える。
このような長柄武器は腕力に自信のある者に人気があり、千岩軍士官の勇武の象徴でもある。
今の璃月港は平和であるが、街中に斧と矛を持ち歩く人を見かける。

千岩軍の隊長はいつも部隊の先頭に立ち、畏れずに進む。
彼らを守るのは忠実な戦友と自分自身の武術である。
近づいてくる敵にとって、斧と矛を振り回す隊長は一番厄介な者になる。
そして盤石な陣形の真ん中にいる兵士こそが、千岩の陣の要である。

流月の針(るげつのはり)

★槍の先端は細く、根元には半月の形をした刃がある異国の兵器。貿易ルートを経て異国から璃月に渡った。少し練習すれば、かなりの破壊力を出せる優れもの。

★世の全てが璃月にあり。これは偉大な璃月港への讃美である。
他の国の珍宝も人と共に璃月港に来る。
槍先はとても細長く、極長の針のよう。石突に弦月型の護身用刃が付いている。
設計者の考えは理解できない。それでもコツを掴めば、普通の槍よりも破壊力を出せる。

異国の武人は璃月人と違い、奇妙な新戦法で勝利を掴むことが得意。
この槍の使い方は、鎧の隙間を狙って刺すこと。音楽と恋のように。

噂によれば、この長槍を作った少女は、命を絶つ生死の隙間が見えるらしい。
生死の隙間は魔法のように、彼女の細長い槍先を吸い込む。
「万物は死を望むでしょう」と
生死の隙間を持たない少女はそう思っていた。

音楽によって彼女は愛を見つけた。愛によって彼女に生死の隙間が現れた。
最後、針に心臓を貫かれたような痛みがその人生の幕を下ろした時、彼女はようやく分かった。
「生死の隙間が現れるのは死を恐れるから。死を恐れるのは恋しい人や大切なものがあるから」

「ああ、もう一度会いたいな。あの捕まらない、殺せない賊に」
「もう一度彼の唄を聴きたい。もし私が生き残れたら、絶対彼に……」

和璞鳶(わはくえん)

★魔神の美玉で作った長槍、遠昔の海獣を倒せる重さと鋭さがある。

★璃月創立当初、海は巨大な妖怪と魔神の楽園だった。
昔の人は海を恐れながら日々を送った。微力ながらも海と戦っていた。

長い間、巨大すぎる海獣はこの広い海域の王であった。
岩の創造神が作った石クジラと戦っても力は衰えなかった。

あれは璃月の人に「八虬」と呼ばれた魔獣。深海では負け知らず。
海から浮上すると、伴う波は津波のように人の船と家を壊した。

そして岩神は玉石と磯岩を使って、一匹の石鳶を作った。

石は生まれた途端に、大地の束縛から飛び立ち、空を駆け回った。
投げ出した長槍は烈日のように、魔獣と岩クジラの海底の戦場まで貫通した。
そして、二度と浮上することなく、巨獣もろとも深海の底まで沈んだ。
それ以来、璃月の人は海の巨獣の咆哮から解放された。